
8月29日(土)・30日(日)の2日間、南山大学にて開催された「カトリック教育学会」において、NPO法人せいぼ(特定非営利活動法人聖母)は、現役の高校生や学校現場の教員とともに登壇し、「NPO×学校現場」の協働による教育的成果と可能性について発表を行いました。
学会テーマである「間に立ち、語り合う: カトリック教育の内と外、そして対話へ」のもと、学校と社会の「間」をつなぐ実践事例を、高校生・教員・大学生・NPOがそれぞれの立場から多角的に発信した今回の発表しました。
単なる事例報告にとどまらず、立場を超えたパートナーシップ(協働)が生み出す深い学びの成果を示す機会となりました。
1. 発表のポイント:

今回の発表では、カトリック学校で学ぶ生徒たちが、NPOとの活動を通してどのように成長し、社会とつながっていくのかが具体的に語られました。
発表内で提示された重要な考え方を、簡単な解説とともにご紹介します。
①「学校の中だけで終わらせない」社会への接続
発表者:小熊 愛莉さん(聖心女子学院高等学校 3年)
小熊さんは、自身の留学経験などをもとに、日本のカトリック教育における課題とNPOの役割について考察しました。
・ 「場所依存」とは?
ボランティアや社会貢献活動が「学校の中(校内イベントなど)」だけで完結してしまい、卒業した後に自発的な行動へつながりにくい状態のこと。
「翻訳能力」とは?
カトリック教育で大切にされている「奉仕」や「人を思いやる心」といった大切な価値観を、効率や利益が求められる「現実の社会や経済の場面で、実際に役に立つ行動やビジネスの形に置き換えて実践する力」のことです。
小熊さんは、NPO法人せいぼが進める「マラウイ産コーヒーの販売を通じた学校給食支援」を例に挙げました。
生徒がコーヒーの販売企画や運営に携わることで、単なる「その場限りの募金(場所依存)」で終わらず、自分たちの思いや奉仕の精神を「社会・経済活動の中で動く形に翻訳する力」が身につくという、NPOとの協働ならではの教育的意義を発表しました。
②「消費が支援になる」仕組みを体感する
探究学習発表者:北島 璃奈さん(光塩女子学院高等科 3年)
北島さんは、校内でのワークショップやクリスマス会でのマラウイ産コーヒー販売の実践事例を紹介しました。
「ソーシャルビジネス」とは?

寄付や支援金だけに頼るのではなく、「商品を売る・買ってもらう」といったビジネスの仕組みを使って、途上国の貧困や環境問題などの社会課題を解決していく取り組みのことです。
生徒たちはコーヒー販売を通じ、「買い物という日常の消費行動が、そのままアフリカ・マラウイの子どもたちの学校給食代になる」というソーシャルビジネスの仕組みを身をもって体験しました。
さらに生徒自身がNPOに対して継続的な仕組みの提案を行うなど、受動的な学びを超えた自発的な「探究学習」へと発展した成果が報告されました。
③ 教員目線から見た「学校が窓口になるメリット」
発表者:西山 雄一郎 先生(福岡雙葉中学校・高等学校 教諭)
学校現場でNPOせいぼと連携して「フェアトレードカフェ」や学習会に取り組む西山先生からは、教育者としての視点が共有されました。
学校がNPOとの窓口になることで、学年が変わったり生徒が入れ替わったりしても活動が途切れず、持続可能な取り組みとして発展させられるという利点が挙げられました。
このような校外での実践的な学びは、生徒自身の成長はもちろん、進路探究や総合型選抜などにも活きる豊かな学びの機会となっています。
【全体進行】鶴田 瀬奈さん(南山大学 2年/せいぼ学生スタッフ代表)
高校時代(光ヶ丘女子高等学校)の部活動でNPOせいぼと出会い、大学生になった現在も後輩高校生たちのサポートやイベント運営に携わり続ける鶴田さんが全体進行を担当しています。
中高・大学・NPOと成長に合わせてグラデーションのように学びが続いていく実例そのものとして、発表全体を力強くリードしました。
2. 会場を温かく包んだ「ケータリング」と教員との交流

今回の学会では、発表会場での議論だけでなく、「おもてなしの場」での協働も大きな話題となりました。
学会中のケータリングコーナーは、会場となった南山大学の学生のみなさんと、愛知県岡崎市にある光ヶ丘女子高等学校の生徒みなさんがタッグを組んで運営を担当しました。

来場した全国のカトリック学校の教員や教育関係者の方々に、活動の象徴でもあるマラウイ産コーヒーやドリンクを笑顔で提供。
温かい一杯のコーヒーをきっかけに、学生・高校生と全国から集まった教員との間で直接的な対話や意見交換が生まれ、深い交流の輪が広がる貴重な機会となりました。「発表を聞く・見る」だけでなく、学生たちが実際に心を込めて提供するケータリングを通じて、NPOせいぼとカトリック学校が育んできた「あたたかな対話の文化」を参加者全体で体感する時間となりました。
まとめ:

立場を超えた協働が生み出す教育の未来今回のカトリック教育学会での発表は、「NPO」「高校生」「教員」「大学生」という異なる立場の人々が一つのチームとなり、互いの視点を尊重しながら創り上げた協働成果の集大成でした。
学校の中(内)と社会(外)の「間に立つ」NPOが存在することで、学校での学びは一歩外へと踏み出し、社会を変える実践的な力へと変わっていきます。
NPO法人せいぼは今後も、教育現場と社会をしなやかにつなぎ、未来を担う若者たちとともに「対話と実践の場」を育んでまいります。


